冬の庄内は大抵、雨か雪か曇りの予報だ。
晴れマークを見ることは、ほとんどない。
「この時期、庄内の人はみんな鬱になる」
なんてブラックジョークが、わりと本気混じりで飛び交う。
それくらい、空は低く、陽は出ない。
最近、鬱っぽさとビタミンD不足には関係があるらしいと知った。
日光を浴びないと、身体の中でつくられるはずのものが、つくられない。
気分の問題だと思っていたものが、実は光の問題だったりもする。
だから今日は、晴れの日曜日。
寒鱈祭りが開かれていて、町はきっと賑わっている。
けれど我々は、人混みを避けて祭りには行かず、珈琲屋に入った。
窓際の席で、ただ陽を浴びていた。
ガラス越しの冬の光は弱い。
それでも、ちゃんと届く。
今日は、意識的に光をとりにいく日だと思った。
そのあと、生活が始まった。
妻の買い物の助手。
日用品の大量買い出し。
玄米三十キロを精米。
そして洗車が二台。
書き並べると、実に地味だ。
けれどこの土地では、こういう用事こそが「晴れの日の仕事」になる。
極め付けは、人生で初めて宝くじを買ったことだ。
妻が急に「買おう」と言った。
妻も初めてだという。
なんで、と聞くと、
「今日は当たりそうだから」
と、根拠のないことを、やけに静かに言った。
何に使うか、という話はしなかった。
家に帰ると、妻はその宝くじを神棚に上げた。
宝くじを買った、という楽しみを、存分に味わっているのだろう。
きっと、
陽の昇らない庄内の冬を楽しむための、
小さな仕掛けなのだと思う。
なんでもない日曜日
晴れて、動いて、珈琲を飲んで、宝くじを買った。
冬の庄内では、それだけで、いい一日になる。