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792/1000 それだけでいい日曜日

792/1000 それだけでいい日曜日

冬の庄内は大抵、雨か雪か曇りの予報だ。

晴れマークを見ることは、ほとんどない。


「この時期、庄内の人はみんな鬱になる」

なんてブラックジョークが、わりと本気混じりで飛び交う。

それくらい、空は低く、陽は出ない。


最近、鬱っぽさとビタミンD不足には関係があるらしいと知った。

日光を浴びないと、身体の中でつくられるはずのものが、つくられない。

気分の問題だと思っていたものが、実は光の問題だったりもする。


だから今日は、晴れの日曜日。

寒鱈祭りが開かれていて、町はきっと賑わっている。

けれど我々は、人混みを避けて祭りには行かず、珈琲屋に入った。

窓際の席で、ただ陽を浴びていた。


ガラス越しの冬の光は弱い。

それでも、ちゃんと届く。

今日は、意識的に光をとりにいく日だと思った。


そのあと、生活が始まった。

妻の買い物の助手。

日用品の大量買い出し。

玄米三十キロを精米。

そして洗車が二台。


書き並べると、実に地味だ。

けれどこの土地では、こういう用事こそが「晴れの日の仕事」になる。


極め付けは、人生で初めて宝くじを買ったことだ。

妻が急に「買おう」と言った。

妻も初めてだという。

なんで、と聞くと、

「今日は当たりそうだから」

と、根拠のないことを、やけに静かに言った。


何に使うか、という話はしなかった。

家に帰ると、妻はその宝くじを神棚に上げた。

宝くじを買った、という楽しみを、存分に味わっているのだろう。

きっと、

陽の昇らない庄内の冬を楽しむための、

小さな仕掛けなのだと思う。


なんでもない日曜日

晴れて、動いて、珈琲を飲んで、宝くじを買った。

冬の庄内では、それだけで、いい一日になる。