当社一大プロジェクト工事2日目、
関東と名古屋から来てくださった職人さんたちを迎えたのは、吹雪だった。
庄内式の手荒い歓迎である。
「それほど酷くならなくてよかったです」
そう言うと、職人さんが少し真顔で聞き返した。
「……これより酷い時、あるんですか?」
庄内の冬は「よくこんな所に住んでるね」とまで言わしめる凄まじさがある。
現場が少し落ち着いたところで、一服。
ストーブに寸胴をかけ、湯を沸かす。
そこに缶コーヒーを沈める。
横でクーラーボックスを開けると、湯気の立つ「あじまん」。
山形のソウルフード、大判焼きだ。
出来たてを買ってきて、冷めないように詰めてきた。
蓋を開けた瞬間、白い湯気と甘い匂いが立ち上る。
「おお……」
あちこちから小さなどよめきが起きる。
椅子はないので、ビールケースを並べて即席の腰掛け。
ストーブを囲んで、車座になる。
電気屋さん、機械屋さん、クレーン屋さん。
分野の違うプロフェッショナルが十数人。
手にしているのは、あじまんと、寸胴で温めた缶コーヒー。
誰かが言った。
「なんか、田舎の集会場みたいですね」
たしかにそうだと思った。
吹雪の外。
鉄の音の現場。
その真ん中に、ストーブと湯気と甘い匂い。
缶コーヒーは、ただの缶コーヒーじゃなかった。
寸胴で温めたそれは、指先から体の芯まで、まっすぐ効いてくる。
「あー……生き返る」
その一言で、今日ここに集まった理由の半分くらいは、もう十分だった気がする。
吹雪に当たり、あじまんをかじり、同じストーブを囲む。
工事二日目。
一体感がすごい。