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826/1000 中学卒業式のピアノ伴奏という、小さな大舞台 

826/1000 中学卒業式のピアノ伴奏という、小さな大舞台 

来月、いよいよ中学の卒業式を迎える娘。

その式で歌われる合唱曲の伴奏オーディションが先日あった。

娘が手を挙げたのは「大地讃頌」。

誰もが一度は歌ったことのある、あの力強い合唱曲だ。

 

半年以上、この曲を念頭に練習してきた。

家のアップライトピアノの前に座る背中を、私は何度も見てきた。

夜も、休日も、同じフレーズを繰り返し弾く音が、家の空気の一部になっていた。

 

オーディション後の感想は「まあまあ」。

娘の「まあまあ」は、だいたい「かなり良い」の意味だ。

 

けれど先生は、感情を前面に出すタイプの演奏を好むらしい。

結果は、落選。

 

小林家の人々は、どうも主役より脇役を好む。

クレジットに大きく名前が出るより、全体を支える立場に安心する。

娘の伴奏も、まさにそうだった。

「伴奏は主役じゃないから」

そう言って、歌を引き立てる構成を選んでいた。

 

でも同時に、

「だから評価されないのかも」とも。

 

私は本心からこう言った。

「伴奏に徹するの、かっこいいと思うよ」

 

本当にそう思う。

支える力は、簡単には身につかない。

 

けれど大人になった今、もうひとつ感じる。

主役を張る場面も、人生には必要だということ。

 

脇役に徹する強さを知っている人が、

いつか主役に立ったら、きっと深い。

 

卒業式の舞台には立てなかったけれど、

娘の半年間は消えない。

 

娘がいつか、自分の意志で中央に立つ日を、

私はそっと見守りたい。