倫理法人会の派遣講師で、茨城県笠間市にお邪魔している。
羽田から電車に揺られて約2時間。
今回もそうだが年に何回か、自分ではきっと行かないであろう土地に派遣される。
これが面白い。
笠間は坂本九の出生の地ということで、
近隣の主要駅である常磐線友部駅では「上を向いて歩こう」が駅のチャイムで流れていた。
友部駅から水戸線に乗り換えてすぐの笠間駅、駅前のロータリーは400mトラックより小さいイメージ。
その駅から徒歩1分の旅館風ビジネスホテルが、先方が手配した宿だった。
当然和室で、トイレも風呂も共用。
高校生の時こんな旅館でバイトをしていたので、
2階の部屋に通され、することが無いので幅広の窓枠に座り、駅前のロータリーをぼんやりと眺める。
聞き慣れない鳴き声の鳥が防災無線の鉄塔に止まって、しきりに鳴いている。
信号のない横断歩道では、車優勢の地域がらで、全ての歩行者が立ち止まる。
無名の私が、初めて訪れる町で、
初めてお目にかかる無名の人たちと、講演会をつくっていく。
初対面のというのは街でも人でも先入観が、相手をどんどん固めていく。
きっとこんな所だろう、きっとこんな人だろう。
興味を持って知ろうとすれば、先入観とはまったく違う人となりが、
町の輪郭が、静かに立ち上がってくる。知ろうとすることは素敵なことだ。
無名とは、知らないというだけのことだ。
もちろん、相手も自分のデータベースから私をプロファイリングしてくる。
無名の私の講演会。
もちろん大きな期待があるわけではないだろう。
それでも全力を尽くす。
講演会が終わって、どうやら第一印象とは違った感想を持ったであろう主催者が駆け寄ってきた。