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588/1000 岩ガキの季節に、父を想う

588/1000 岩ガキの季節に、父を想う

庄内浜の初夏といえば、やっぱり岩ガキ。


「牡蠣といえば冬でしょ?」と思われるかもしれませんが、それは“真ガキ”の話。

庄内浜で旬を迎えるのは“岩ガキ”。春から夏にかけて冷たい雪解け水が流れ込むことで、身がぷっくりと太り、クリーミーで濃厚な味わいに育ちます。この時期にしか味わえない、まさに海の恵みです。


そんな岩ガキにまつわる、父の昔話をひとつ。


海辺の温泉街にあった父の実家は、決して裕福とは言えない家。けれど目の前には海がありました。海開き前のまだ冷たい磯に潜っては、牡蠣やワカメを採って空腹をしのいでいたそうです。


ある日、観光客がその様子を見て「その牡蠣、食べてみたい」と声をかけてきた。

父が焼いて差し出すと、その味に観光客は大喜び。

それを見た父少年、ピンときた。


「自分で食べるより、売った方がコスパがいいかもしれない」

そこからが父の真骨頂。

観光客が来そうな時間を狙って磯に潜り、網で牡蠣を焼く。

香ばしい香りが届くように工夫し、タイミングを見て、醤油をジュッと垂らす。

香りに誘われて足を止めた観光客に焼きたてを差し出せば……もう、完売。


もしかすると、父の“商いのセンス”は、この頃に芽生えたのかもしれません。


今、この季節に岩ガキを味わうと、父の話がふっと蘇ります。

磯の香りと、ジュッという醤油の音とともに。


でもね、本当に好きな人はこう言うんです。

「生で、レモン汁を搾ってどうぞ」と。


魚屋さんに牡蠣が並び始めると、夏が来たなあと実感する今日この頃です。