30/100 変わらない音を守る
再結成したバンドの新曲を、積極的に聴きたいとはあまり思わない。
好きだった曲は今でも好きだし、再びステージに立つ姿を見ればうれしい。ただ、新曲となると、どうしても自分の中にある「あの頃」と比べてしまうのかもしれない。
そんなことを考えると、スピッツというバンドはすごい。
今年8月、48作目のシングル「見知らぬ糸」をリリースした。ドラマの主題歌という追い風もあるのだろうが、今もヒットチャートを賑わせている。
1991年のメジャーデビューから35年。ボーカル、ギター、ベース、ドラムという4人の音で、今も新しい曲を届け続けている。
暗いような、明るいような。
寂しいような、どこか救われるような。
あの独特のスピッツ節は、年月が経っても変わらない。曲を聴けば「ああ、スピッツだ」と思う。それなのに、昔の曲だけ聴いていれば十分、という気持ちにはならない。
懐かしさもあるけれど、ちゃんと今の自分に届く。その不思議な距離感が、長く聴き続けられる理由なのだろう。
変わらないことは、ともすれば飽きられることにもつながる。それでも、新しい曲を聴きたいと思わせてくれる。
きっと、同じ場所にとどまっているように聞こえても、その中では少しずつ変わり続けているのだと思う。
35年経っても、自分たちの音で、今を生きている。
その続け方に、私は惹かれる。

