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926/1000 夜のさくらんぼ狩り 

926/1000 夜のさくらんぼ狩り 

父がさくらんぼを買ってきた。

山形の6月と言えば、やはりさくらんぼだ。

たくさん食べる果物ではないかもしれないが、赤く艶やかな実は見ているだけでも楽しい。まるで季節そのものが食卓に並んだような気分になる。

この時期になると、あちこちで「さくらんぼ狩り」の看板を目にする。

私も子どもたちが小さい頃、一緒に出かけたことがある。様々な品種を食べ比べながら歩くのはなかなか楽しく、今でも良い思い出だ。

先日テレビを見ていたら、そのさくらんぼ狩りを夜に開催している農園が紹介されていた。

これは面白いと思った。

さくらんぼ狩りというと、家族連れが昼間に楽しむものというイメージがある。しかし、その農園では夜にライトアップを行い、星空を眺めながらさくらんぼ狩りを楽しむという。

同じさくらんぼ。

同じ農園。

なのに、昼を夜に変えただけで、まったく違う魅力が生まれている。

家族向けだったものが、若いカップルや大人向けの体験にもなる。

これは経営の世界でいう「市場開拓」という考え方に近い。

新しい商品を作るのではなく、今ある商品を別のお客様に届ける。

私たちはつい、「新しいことをやるには新しい商品が必要だ」と考えがちだ。しかし実際には、見せ方や届ける相手を変えるだけで、新しい価値が生まれることも少なくない。

そう考えると、身の回りにはまだまだ可能性が眠っているように思う。

山形の6月の風物詩であるさくらんぼ。

そのさくらんぼから、商売のヒントをひとついただいた気がした。