父がさくらんぼを買ってきた。
山形の6月と言えば、やはりさくらんぼだ。
たくさん食べる果物ではないかもしれないが、赤く艶やかな実は見ているだけでも楽しい。まるで季節そのものが食卓に並んだような気分になる。
この時期になると、あちこちで「さくらんぼ狩り」の看板を目にする。
私も子どもたちが小さい頃、一緒に出かけたことがある。様々な品種を食べ比べながら歩くのはなかなか楽しく、今でも良い思い出だ。
先日テレビを見ていたら、そのさくらんぼ狩りを夜に開催している農園が紹介されていた。
これは面白いと思った。
さくらんぼ狩りというと、家族連れが昼間に楽しむものというイメージがある。しかし、その農園では夜にライトアップを行い、星空を眺めながらさくらんぼ狩りを楽しむという。
同じさくらんぼ。
同じ農園。
なのに、昼を夜に変えただけで、まったく違う魅力が生まれている。
家族向けだったものが、若いカップルや大人向けの体験にもなる。
これは経営の世界でいう「市場開拓」という考え方に近い。
新しい商品を作るのではなく、今ある商品を別のお客様に届ける。
私たちはつい、「新しいことをやるには新しい商品が必要だ」と考えがちだ。しかし実際には、見せ方や届ける相手を変えるだけで、新しい価値が生まれることも少なくない。
そう考えると、身の回りにはまだまだ可能性が眠っているように思う。
山形の6月の風物詩であるさくらんぼ。
そのさくらんぼから、商売のヒントをひとついただいた気がした。