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868/1000 我が家の終活(クサガメ編)

868/1000 我が家の終活(クサガメ編)

実家の母から電話があった。

50年以上飼い続けている亀を、お寺に許可をいただいてお寺の池に放そうと思う。だから別れを言いに来なさい、という。

その亀は、母が嫁に来る前から家にいた。

祖父が世話をし、その後は80代になった父が世話を続けてきた亀である。

子どもの頃、祖父に「この亀はどうしたの?」と聞いたことがある。

祖父は「海で捕まえてきた」と言った。私は長い間それを信じていたが、大人になってからこの亀が淡水に住むクサガメだと知った。

それでも、50年以上も我が家にいることに変わりはない。

何度も脱走して行方不明になりながら、いつの間にか戻ってきて、毎年卵まで産む。どうやらメスらしい。

放すと聞いたとき、世話もしていないくせに寂しいなとも思ったが、しょうがないなとも感じ、そのまま床についた。

その夜、夢に祖母が出てきた。

祖母と同じ布団に寝ているのだが、祖母は額に汗をかき、苦しそうにしている。やがて空がざわめくようにカラスの群れがやってきて、満月を覆い隠したところで目が覚めた。

祖母の名前は亀恵という。

その名前のこともあってか、この亀は我が家では大事にされてきたところもあるのだと思う。

翌朝、実家へ行き、その夢の話をした。

そして、私が飼ってもいい旨を伝えた。

これからどうなるのか。

冬眠中の亀は知る由もない。