60/100 白鳥たちは幸せか?
月山が白くなった。
もちろん鳥海山も。
国道47号線、最上川沿いの山並みは紅葉の真っ盛り。
赤や黄色に染まった山々を眺めていると、秋の深まりを感じる。
一方、庄内平野の田んぼには、白鳥たちが押し寄せている。
場所によっては、田んぼを埋め尽くすほどだ。
秋と冬が同居する、なんとも贅沢な季節である。
そういえば、以前は白鳥たちに学校給食の残飯を餌として与えていた時代があった。
今では考えられないことかもしれない。
しかし、当時はそれが白鳥たちのためになると信じられていた。
全国には、白鳥を守ろうと、餌付け活動に情熱を注いだ人たちも大勢いたことだろう。
中には、その活動に人生を懸けたような人もいたのではないか。
その思いや行動を、今の価値観だけで否定することはできない。
ただ、ふと思う。
人間が良かれと思ってしていることは、本当に動物たちのためになっているのだろうか。
餌を与えることが愛情なのか。
それとも、自然の中で生きる力を尊重し、余計な手を出さないことが愛情なのか。
そもそも、どちらが幸せなのかを決めているのも人間である。
白鳥たちに聞いてみることはできない。
かつて餌を与えられていた白鳥たちは、今もこうして庄内の田んぼにやってくる。
もちろん、それだけで餌付けが必要なかったとは言い切れない。
それでも、彼らは彼らなりに、自然の中で生きている。
人間は、ついつい自分たちの物差しで物事を判断してしまう。
守っているつもりが、余計なお世話になっていることもあるのかもしれない。
反対に、人間の手助けがなければ守れない命もあるだろう。
だから難しい。
大切なのは、良かれと思って行動することだけでなく、その行動が相手にとって本当に良いことなのか、問い続けることなのだと思う。
雪化粧した月山と鳥海山。
色鮮やかな最上川沿いの山々。
そして、田んぼを埋め尽くす白鳥たち。
今年も庄内に冬がやってくる。
あの白鳥たちは、人間のそんな思惑など、知る由もないのだろうけれど。

