46/100 墓じまいが増えている。その背景にあるもの
近年、「墓じまい」という言葉を耳にする機会が増えました。
墓じまいとは、これまでのお墓を撤去し、納められていた遺骨を別の場所に移したり、永代供養などに切り替えたりすることです。
実は今、この墓じまいに関連する「改葬」の件数が大きく増加しています。
厚生労働省の統計によると、2014年度には全国で約8万4千件だった改葬件数が、2024年度には約17万6千件に。
わずか10年で2倍以上になった計算です。
※改葬にはお墓の引っ越しなども含まれるため、すべてが墓じまいというわけではありません。
では、なぜこれほど増えているのでしょうか。
お墓を守りたくても守れない時代
背景にあるのは、少子高齢化や人口減少、そして家族の暮らし方の変化です。
かつては、家を継ぐ人がお墓も守り、代々受け継いでいくことが一般的でした。
しかし今は、子どもたちが進学や就職で故郷を離れ、そのまま都市部で生活することも珍しくありません。
お墓が遠方にあれば、お墓参りや掃除だけでも大変です。
さらに、子どもがいない、あるいは子どもに負担をかけたくないという理由から、自分たちの代で墓じまいを考える方も増えているようです。
つまり、ご先祖様を大切にしたくないのではなく、大切にしたくても、これまでと同じ方法では守り続けることが難しくなっているのです。
墓じまいを考えるときのポイント
墓じまいは、お墓を撤去すれば終わりというものではありません。
考えておきたいことがいくつかあります。
① 家族や親族との話し合い
お墓には、自分たちだけではなく、親族それぞれの思いや記憶が詰まっています。
管理を担っている人だけで決めず、関係する方々と十分に話し合うことが大切です。
② 遺骨の新たな供養先
永代供養墓、納骨堂、樹木葬など、供養の形も多様化しています。
費用や管理方法だけではなく、これから家族がお参りしやすいかどうかも重要なポイントです。
③ 手続きと費用
墓じまいには、墓石の撤去や墓地の返還、遺骨の移動などが伴います。
改葬する場合には、原則として現在のお墓がある市区町村で改葬許可の手続きが必要です。
また、墓石の撤去費用、新たな納骨先の費用、寺院との相談など、事前に確認しておくことも少なくありません。
④ 気持ちの整理
そして、何より大切なのが気持ちの整理ではないでしょうか。
長年、家族が手を合わせてきた場所をなくすことに、寂しさや申し訳なさを感じる方もいらっしゃるでしょう。
だからこそ、急いで結論を出す必要はないのだと思います。
お墓を残すことと、思いを残すこと
この話は、私たちが日頃取り組んでいる家財整理や遺品整理にも通じるものがあります。
大切な人が使っていたモノ。
思い出の詰まった家具や道具。
それらを手放すことに、ためらいを感じるのは自然なことです。
しかし、モノを残すことと、思い出を大切にすることは、必ずしも同じではありません。
お墓についても、同じことが言えるのかもしれません。
お墓という形を守ることも大切。
一方で、形を変えながら、ご先祖様への感謝や家族の記憶を受け継いでいくことも、一つの選択肢なのだと思います。
もちろん、どちらが正しいという話ではありません。
大切なのは、自分たちの暮らしや次の世代のことを考え、納得できる形を選ぶことなのでしょう。
墓じまいの増加は、単にお墓が減っているという話ではなく、家族のあり方や、世代を超えて何を受け継いでいくのかを問いかけているように感じます。
何を残し、何を手放し、何を次の世代へつないでいくのか。
墓じまいは、そんなことを考えるきっかけなのかもしれません。

