991/1000 誰が主役か
先日、ラジオを聴いていたら、凄腕ラジオパーソナリティーであるジェーン・スーさんがゲスト出演されていた。
「ラジオで心掛けていることは何ですか?」という質問に、彼女はこう答えた。
「聞いている人が主役です。」
この一言に、私はかなりの衝撃を受けた。
そのあとに続いた話がさらに印象的だった。
「自分がやりたいラジオに、リスナーを付き合わせるのではない。」
さらに、プロレスも同じだと話していた。
このニュアンスを言葉で説明するのは難しい。しかし、不思議なくらい腑に落ちた。
プロレスラーは、自分が気持ちよく技を出すためにリングへ上がるのではない。観客が熱狂し、「面白かった」と思ってもらうために試合をつくる。
ラジオも同じ。
パーソナリティが話したいことを一方的に話すのではなく、聞いている人が楽しめる時間をつくる。
つまり、主役は自分ではなく、相手なのである。
私は、この考え方はラジオやプロレスだけの話ではないと思った。
仕事もそうだ。
お客様が主役。
会議なら参加者が主役。
講演なら聴いている人が主役。
そして、人を育てることも同じではないだろうか。
上司が主役ではない。
教える人が主役でもない。
育つ人が主役なのである。
子育ても同じだ。
親はつい、自分の理想を子どもに重ねてしまう。
しかし、子どもの人生の主役は子ども自身である。
親は舞台の中央に立つ人ではなく、安心して歩けるように照らす照明係であり、ときには転ばないように支える裏方なのだと思う。
考えてみると、人間関係がうまくいかなくなるときは、「自分が主役」になっていることが多い。
認めてほしい。
分かってほしい。
自分のやり方についてきてほしい。
そんな気持ちが少しずつ大きくなると、相手は脇役になってしまう。
反対に、「相手が主役」という視点に立つと、言葉も態度も自然と変わる。
どうすれば、この人が輝けるだろう。
どうすれば、この人の力を引き出せるだろう。
その問いが生まれるからだ。
「聞いている人が主役。」
ラジオの話として聞いた一言だったが、私には人生の指針のように感じられた。
今日、自分は誰を主役にしているだろう。
その問いを持つだけで、人との関わり方も、仕事も、子育ても、きっと少しずつ変わっていく。

