今、繰り返し聴いている音楽がある。エマニュエル・シャブリエの《狂詩曲スペイン》だ。
明るくて軽快で、春にぴったりのウキウキする楽曲だと思う。
聴いていると気持ちが自然と前を向く。そして不思議なことに、この曲にはどこか懐かしさがある。初めて聴いたはずなのに、前から知っていたような気がするのだ。もしかすると前世で聴いていたのではないか、そんな冗談のようなことまで思ってしまう。
調べてみると、この曲が作られたのは1883年。日本では明治16年の頃だという。鹿鳴館の時代、文明開化の空気が広がっていた頃に、遠くヨーロッパではこんな軽やかな音楽が生まれていたのだ。当時の日本人の耳にも届いていたのかもしれないと思うとロマンがある。
さらに1961年録音のレコードを見つけたので、思わず注文してしまった。針を落としたとき、どんな音が立ち上がるのか今から楽しみで仕方がない。
雪解けが進み、景色の色が少しずつ変わっていくこの季節。この曲を心地よく感じられるということは、自分自身もまた前を向いている証拠なのかもしれない。