人を育てるということは、何なのだろう。
仕事に限らず、これまでさまざまな立場で人と関わってきたが、振り返ると「自分より下が育っていない」という場面を何度も経験してきた。
私より上の世代は、次々と仕事を振ってくる。
私はそれを右から左へと処理してきた。
量をこなす中で、確かに力はついたと思う。
だが、ふと気がつく。
自分の下が育っていない。
下の世代は、私を当てにする。
「小林さんがいれば何とかなる」
その空気は、安心でもあり、同時に危うさでもある。
この構図が続けば、組織は静かに弱体化していく。
仕事は回っているように見えて、実は“人”が育っていないからだ。
頼まれることに応え続けるのは、気持ちがいい。
評価もされるし、自分の存在価値も感じられる。
けれどそれは、いつの間にか「便利な後輩」「都合のいい中間管理職」を引き受け続けることにもなる。
今、必要なのはもう一段階先の役割だと思う。
自分がやることを減らし、人に任せること。
失敗させ、考えさせ、時間をかけて待つこと。
人を育てるとは、
自分が楽になることでも、
相手を甘やかすことでもない。
組織の未来のために、
あえて自分が“不便になる”選択をすることなのかもしれない。
便利な後輩を卒業する。
それは、次の責任を引き受けるという決意でもある。