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毎日ブログ

2026/06/05
918/1000 やらない勇気   

先日、経営の勉強会で「アンゾフのマトリックス」という考え方を学んだ。

会社の成長戦略を、

①市場浸透

②商品開発

③市場開拓

④多角化

の4つに分類するというものだ。

図にするとシンプルなのだが、眺めているうちに、経営の本質が見えてくる。

私たちはつい、「新しいこと」に目が向く。

新規事業。

新サービス。

新しい市場。

経営者であればなおさらだろう。

何か面白いことはないか。

新しい収益源はないか。

そう考えること自体は悪くない。

しかし、この理論の面白いところは、「どこへ行くか」だけでなく、「どこへ行かないか」も示してくれることだ。

特に④の多角化。

新しい商品を、新しい市場へ投入する。

夢はある。

しかし同時に、最もリスクが高い。

商品も分からない。

お客様も分からない。

言ってみれば、地図もコンパスも持たずに航海へ出るようなものだ。

一方で②の商品開発や③の市場開拓は、すでに持っている強みを活かせる。

技術。

経験。

人脈。

信用。

そうした積み重ねを土台にして前へ進むことができる。

考えてみれば当たり前の話だ。

野球が得意な人が、まずは野球を伸ばす。

料理が得意な人が、まずは料理で勝負する。

それなのに会社になると、なぜか急に全く違う競技に挑戦したくなる。

アンゾフのマトリックスは、その暴走しがちな気持ちを静かに引き戻してくれる。

「あなたの強みは何ですか?」

と問いかけてくるのである。

経営の仕事は、新しいことを始めることだと思っていた。

しかし最近は少し違う気がしている。

むしろ、

「やらないことを決める」

ことの方が大切なのかもしれない。

限られた人員。

限られた時間。

限られた資金。

だからこそ、自分たちの強みが生きる場所に集中する。

遠回りに見えて、それが一番確実な成長への道なのだろう。

アンゾフのマトリックスは、事業を増やすための理論ではない。

自分たちの立ち位置を見失わないための地図なのだと思う。

2026/06/03
916/1000 談志と家財整理    

先日、42歳頃の立川談志による「へっつい幽霊」を聴いた。

やはり名演だった。

私が生まれた頃の古い録音にもかかわらず、ぐいぐいと引き込まれる。

今回、私が思わず反応したのは「へっつい」の処分に困る場面だった。

へっついとは昔のかまどのことだが、このへっついには幽霊が付いている。

 

そのせいで誰も欲しがらない。街に悪い噂が流れる。

売ろうとしても売れない。

むしろ、お金を付けてでも持っていってほしいという話になる。

 

そこでふと思った。

「あれ、これ私たちの仕事だな」と。

江戸時代には廃棄物処理という概念はなかっただろう。
そこにこの古典落語の面白味がある。

 

「へっつい幽霊」を聴きながら、笑っていたはずなのに、いつの間にか仕事のことを考えていた。


2026/06/01
914/1000 先手必勝   

昨シーズンは、熱中症対策用の塩分タブレットが手に入らず苦労した。

必要になってから注文しても在庫がない。あっても納期がかかる。あちこち探し回って最後はスーパーの袋飴になっていた記憶がある。

そんな経験があったので、今年はまだ肌寒さの残る3月のうちに一年分を購入しておいた。

たかがタブレットである。

しかし社員みんなの分となると話は別だ。段ボールで届いたそれは思いのほか場所を取り、金額も数万円になる。

積み上げられた箱を見ながら、「これ全部食べるのか」と少し笑ってしまった。

そして、もう一つ気になることがある。

こんなに食べて虫歯にならないのだろうか。

熱中症を防ぐために配ったのに、今度は歯医者さんのお世話になる人が増えたら本末転倒である。

もっとも、それは冗談半分の心配だ。

本当に怖いのは熱中症の方である。


今日、事務所では今シーズン初めて冷房を入れた。

そして、3月に買った塩分タブレットがやっと日の目をみた。

 

昨年は社員の熱中症がゼロだった。

もちろん今年もゼロを目指す。

熱中症対策に特効薬はない。こまめな水分補給や休憩、声掛け、そしてこうした地味な備えの積み重ねだと思う。

できることは先にやっておく。

そうゆうことだ。

2026/05/30
912/1000 記憶の1ページを投函する   

月末になると事務所は少し慌ただしくなる。

請求書の発送準備だ。

金額を確認し、封入し、宛名を確認する。一見すると地味な作業だが、会社にとってはとても大切な仕事である。

請求書は単なる紙切れではない。

そこには「確かに仕事をしました」「確かに受け取りました」という、お客様との信頼と信用の積み重ねが記されている。一枚一枚が信頼と信用の交換ツールなのだ。

月末の事務所では、プリンターが動き、封筒が積み上がり、スタッフが手分けして作業を進める。

当たり前の光景だが、よく考えてみると不思議なものだ。

電子帳簿や電子請求書が当たり前になりつつある今、この作業も10年後には無くなっているかもしれない。

紙に印字し、封筒に入れ、切手を貼り、ポストへ向かう。

長い間続いてきたこの仕事も、気がつけば時代の変化とともに姿を消していくのだろう。

夕方、発送を終えた請求書を抱えてポストへ向かった。

かつてあった作業という記憶の1ページに留めるように、そっと投函した。

2026/05/28
910/1000 島からのご褒美   

毎年この時期になると、飛島へビーチクリーンに出かけていた。

山形県唯一の離島、飛島。青すぎるほど青い海と、初夏にはオレンジ色のトビシマカンゾウが咲く美しい島だ。

その一方で、冬の日本海を渡ってきた海ごみが浜辺には打ち上げられている。私たちは2時間ほどかけて、そのごみを拾う。

汗をかくし、決して楽な作業ではない。

けれど、不思議と嫌な記憶として残っていない。

なぜだろうと考えてみると、私が好きだったのは作業の後の時間なのかもしれない。

港まで戻り、みんなで弁当を食べる。

そしてフェリーの時間まで芝生に寝転がる。

見上げれば、どこまでも高い空が広がっている。

カモメもずいぶん高いところを飛んでいる。

島を渡る風は心地よく、潮の匂いがゆっくり流れていく。

何かをしなければいけないわけでもなく、誰かに急かされるわけでもない。

ただ空を見ているだけなのに、妙に満たされた気持ちになる。

 

今年はフェリーの都合で中止になった。

島からのご褒美だったあの時間が今年は無いのが残念だ。