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  1. 毎日ブログ
 

毎日ブログ

2025/08/26
648/1000 足るを知るは、未来をひらく   

 私はこれまで、「足るを知る」という言葉をどこか諦めのように捉えがちだった。満足してしまったら、それ以上先には進めないのではないか。欲を持たなければ成長もないのではないか。そんな風に思っていた。

けれど最近になって気づいた。足るを知るは諦めではない。むしろ、自分を全力で肯定することなのだと。うまくいったことも、いかなかったことも、欠けていると思う部分も含めて、「これが私の今だ」と受け止めること。そこから初めて、人は余計な不足感や劣等感から解放される。

 不思議なもので、そうやって自分にOKを出したときにこそ、「これをやりたい」「誰かの役に立ちたい」といった思いが静かに芽生えてくる。使命のようなものは、焦りや劣等感からではなく、足るを知る心の静けさから生まれるのだ。

次のステージに進む人と、同じところをぐるぐる回る人の違いは、きっとそこにある。諦めが未来を閉ざす感情だとすれば、足るを知るは未来をひらく感情だ。

 だから今日も、この言葉をそっと思い出しながら過ごしてみようと思う。

2025/08/24
646/1000 旅はどこへ行くかより、もちろん誰と行くかだ    

先日、あるご夫婦から世界一周クルーズの話を伺った。三か月かけて地球をぐるり。想像しただけで胸が高鳴る。しかも船内はすべて食べ放題。ディナーは毎晩フランス料理のフルコースを、いくらでも食べられるという。

そうなると、歩いて乗船した人が、下船のころには杖をついて帰ることになるらしい。船旅というのは、どうやらロマンと同じくらい、カロリーとも戦うことになるようだ。

そして夫婦での参加者たちの姿がまた興味深い。もちろん仲睦まじいペアもいるが、実は少数派。多くは「うちの人はね…」と、相方への不満を延々とこぼす人も少なくないらしい。広い海の上で、どうしても話題に困るのか、それとも本音が波に揺られて出てしまうのか。

中には「一人のほうが気楽でいいわよ」と笑うご婦人たちもいたという。三か月というのは長い。自由を満喫するには、相手との距離感も大切なのだろう。

参加者の七割以上は60代以上。海の上で出会う人生のベテランたち。食べ放題と夫婦模様、そして寄港地での小さなドラマ。聞いているだけで、こちらまで小さな旅をした気分になる。

夫婦で世界旅行に行くというのは、その関係性も含めて、きっと人生のテーマなのだ。旅はどこへ行くかより、もちろん誰と行くかだ。


2025/08/22
644/1000 鼻息荒い人ほど、可愛い生き物だ   

 お客様なのですが、いつもものすごい態度の方がいらっしゃいます。こちらが名乗るやいなや、嵐のような口調で用件が始まる。私たちは奴隷ですか?と聞きたくなるほどの迫力です。

 もちろん仕事ですから、笑顔で受け答えします。でもスタッフと顔を見合わせて「客商売なのに、あの態度ってどうなの?」とつい言いたくなる。いや、むしろあれだけ鼻息荒くしていたら健康に悪いんじゃないかと、心配すらしてしまいます。

 昔、先輩経営者から「三方よし」という言葉を教わりました。売り手よし、買い手よし、世間よし。商売ってそういうものだと。だから今は鼻息荒い人も、長いスパンで観察してみたら面白いんじゃないか、とその先輩は笑っていました。

 思えば、私の若い頃もそうだったのかもしれません。勢いだけで突っ走って、相手の立場も考えず、今思えば恥ずかしいくらい。多分、経営者になっていなかったら、そんな事にも気がつけず今でもそんな風に振る舞っていたんじゃないかと思います。

 結局のところ、みんなコンプレックスとか、マウント取りたい気持ちとか、つまらぬ何かを抱えて、生きているかわいい存在でもあるのです。可愛いなと思うと、こっちの気持ちまで晴れてきます。みんな「人間だもの」

2025/08/20
642/1000 夏休み最後の夜、父と息子の感想文   

 夏休みも終わり、今日から高一の息子は登校です。最後まで手をつけられずに残っていたのは、やはり読書感想文でした。机に向かう姿を見ながら、かつて自分も同じように最終日の夜に原稿用紙と格闘していたことを思い出します。

 今回、父である私が薦めたのは三島由紀夫の『金閣寺』でした。若いころに衝撃を受けた作品で、息子にもぜひ触れてほしいと思ったのです。しかし実際に読み進めてみると、言葉の難しさや世界観の重さに心が折れてしまったようで、途中で断念。やはり読書というのは、人に押しつけられて味わえるものではないのだと、あらためて気づかされました。

 そのとき私は冗談めかして「なあ、あんな筋肉ムッキムキのおじさんが、こんなに繊細な文章を書くと思わなかったろ?」と聞いてみました。息子は苦笑しつつも同意。しかし一枚上手で、「切腹の時に脂肪が飛び散るのを嫌って鍛えていたそうだよ」と返してきました。なかなか勉強しているようで、父としてはちょっと舌を巻きました。

 そして急遽彼が選んだのが小川洋子さんの『博士の愛した数式』でした。記憶が80分しかもたない博士と家政婦、そして少年の交流を描いた静かな物語です。数学が苦手で文系を選んでいる息子ですが、仲良くなる友人はなぜか理系ばかり。最近は「2年生から理系に進むべきか」と悩んでいます。先生からは「得意・不得意で決める必要はない」と助言を受けているものの、まだ心は揺れているようです。

そんな息子にとって、この物語は大きな発見をもたらしたようでした。博士が数式を通じて見ている世界には、冷たい記号ではなく、人の心や関係を映し出す温もりがある。数字の中にもドラマやストーリーが潜んでいる。そのことに気づけたのは、理系に苦手意識を持つ彼にとって思いがけない収穫でした。

 昨夜遅くまで原稿用紙に向かい、何度も書き直しながら仕上げた感想文。仕方なく読んだ本ではなく、自分で選び取った一冊だからこそ、最後まで向き合えたのでしょう。読書感想文とは、結局のところ「何を読むか」よりも「どう選ぶか」に意味があるのかもしれません。

夏休み最後の夜、息子の背中を眺めながら、そんなことを感じたのでした。


2025/08/18
640/1000 アラフィフの思い込み劇場   

アラフィフともなると、それなりに経験を積んでいる。

もちろん役に立つ場面も多いが、ときに先入観となって勘違いを生むことがある。

先日、家財整理のお見積もりで約束したお客様。

私は「この方は仕事をされていない」と勝手に思い込み、13時に伺うことにした。

(経験上、仕事をしている人の昼一は13時30分、していない人は13時──そんな“自分ルール”があったからだ。)

ところが伺ってみると不在。

携帯に電話しても「現在使われておりません」とのアナウンス。

仕方なく現場を後にしたが、よく確認すると──電話番号は「090」ではなく「080」。

さらに、相手の昼一はやはり13時30分だった。

思い込みで時間を決めつけ、番号まで早とちり。

たったそれだけで仕事が止まってしまう。

経験は武器になるけれど、裏返せば落とし穴にもなる。

そして最近の私は「これまでの経験だと」と口にすることが増えた。

もしかすると──「老害」の初期症状かもしれない。
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