今日の一枚は、山形県鶴岡市の関川地区にて。
新潟県との県境にあるこの場所には、毎年梅雨前のこの時期に、なぜか仕事で訪れる機会があります。
ちょうど田植えを終えたばかりの水田。
そこを吹き抜ける風の涼しさと、川のせせらぎの音。
ああ、やっぱりここ、気持ちいいなぁと素直に思います。
この関川地区は、「しな織の里」としても知られています。
しな織とは、しなの木の樹皮の繊維を使った日本最古の織物のひとつ。
現在では新潟県の一部と、この関川にしか残っていない、貴重な技術文化です。
そんな風光明媚な土地ですが、今日ふと目についたのは、ところどころに見られる倒壊した空き家の姿でした。
放置されたまま朽ちてしまった家。
おそらく中には家財もそのままで、それが崩れた家の中から少し覗いてしまっている。
家が壊れると、モノも壊れる。
そして片付けも、安全な作業も、格段に難しくなる。
私たちは、こうした現場を何度も見てきました。
「せめて、家が壊れる前に、中のモノを引き受けてあげられていたら…」
そう思うことも少なくありません。
美しい風景の中に、少し切ない現実が混ざっている。
でもそれが今の地方のリアルであり、そこに私たちの仕事があるんだと思います。
まあ、できることを、できるうちにやるしかないか。
そんなことを思いながら、今日も走り出しました。