人間の脳は、変化を嫌うのだそうです。「未知の幸福より、慣れ親しんだ不幸を選ぶ」と言う言葉を知りました。この言葉の様に、右足でアクセルを踏みながら、左足で思いっきりブレーキを踏んでいる。そんな思い通りにならない経験は、誰しもあるのではないでしょうか。
こころのブレーキをそっと外してあげるには…。映画ニューシネマパラダイス(1988年イタリア)で父親のいない主人公トトに男の生き方を教えてくれた、映画技師のアフレードがおとぎ話をしてくれます。「ある国の兵士が、その国の王女に惹かれ、王女は兵士に100日間バルコニーの前で待つことができれば、あなたと結婚すると約束しました。兵士は99日間バルコニーの前で待ち続け、しかし100日目に立ち去りました。」という物語。後に夢を追いかけて映画監督になって行くトトに、アフレードはその理由が分かったら教えてくれと言います。
私がこの映画と出会ったのは中学生の頃でした。もう30年近い時間が流れましたが、兵士の決断の理由は、私には分かりませんでした。
ただ、この「未知の幸福より〜」という言葉を知った時、もしかしたら、そういうことだったのかもしれない。と感じたのです。トトに無限の可能性を感じていたアフレード。アフレードは「未知なる一歩を踏み出して幸せを掴み取れ!」トトにそう伝えたかったのかもしれない。