今、私は顧客データの整理という、ひとつの大きなプロジェクトに向かっている。
正直に言えば、
一円にもならない仕事だ。
当社はごみ処理の仕事をしている。
誰しもがクライアントになり得る仕事で、その分、顧客数はどうしても多くなる。
今回はその中でも、法人顧客に絞った整理だ。
気がつけば、向き合っているのは約20年分のデータだった。
やり方は、相変わらずのストロングスタイル。
PC内のデータ整理なのだから、本来であれば物理的なモノはない。
フォルダを開いて、ファイルを分けて、名前を整えて終わり。
きっとそれが、いちばん効率的なのだと思う。
でも、それではどうにもつまらない。
それに、ひとりで完結してしまう。
整理というのは、本当は
「みんなが関われる」ほうがいい。
そう思って、思い切って
持っているデータをすべてプリントアウトしてみた。
机の上に広がる大量の紙。
それらを一枚一枚手に取り、
紐づいているデータ同士をホチキスで留めていく。
この作業が、思いのほか楽しい。
画面越しに見るデータとは違い、
紙には重さがあり、手触りがあり、存在感がある。
ストロングスタイルを好む私には、
このやり方がいちばんワクワクする。
まずは第一弾、要不要のジャッジ。
もう存在しない会社。
当社との取引がとっくに終わっている会社。
名前を見ても、記憶がまったく蘇らない会社もある。
淡々と、でも確実に仕分けていく。
そして、
仕分け終えた紙を計量してみた。
結果はこうだった。
必要なものが 2.5kg。
不要なものも 2.5kg。
何ギガとか、何メガとかじゃない。
**kg(キログラム)**だ。
この数字を見たとき、
「よくここまで溜め込んだな」と、妙に腑に落ちた。
ここから先は、
中分類をして、最新情報を確認して、
紙のデータは最終的に電子データへと変換されていく。
でも、いきなりデジタルで完結させなかったのは、正解だったと思う。
物理的だと、
手で触れるから判断が早い。
複数人で同時に作業できる。
「これは何だっけ?」という会話が、その場で生まれる。
整理が、
ただの作業ではなく、共有の時間になる。
一円にもならない仕事かもしれない。
けれど、この整理が終わった先には、
これからの仕事を支える確かな土台がある。