量と質、どちらが大切か。どっちも大切とは思いますが、ある美術学校で行われた研究事例によれば、量の方が成果が出やすいという結果が出たのだそうです。研究では、陶芸の授業で生徒を二つに分け、一方には作品の量によって、他方には作品の質によって採点すると告げました。すると優秀な作品は全て量の採点グループから出たというのです。
量のグループではたくさんの作品を作る過程で何度も失敗しながら学び、良い作品が生まれて行きました。一方質のグループでは議論する時間が長く実際に制作する時間というのが少なくなっていたのだそうです。
議論することも大切な時間ですが、やはり大事なのは行動なのでしょう。これは陶芸作品というお話ではありますが、これを人間の一生と置き換えて考えてみるとどうでしょう。議論の時間が長過ぎて気がついた時には時間が足りない。これではせっかくの人生がもったいない。
スイスの心理学者ユングは、「正い生き方とは何か」という問いに対し、「あなただけの次の一歩踏み出そう」と訓えました。あなただけの次の一歩とは何か。それは、正解など分からなくとも、自分の時間と能力を最大限使って力強く一歩を踏み出すこと。そう、行動する事なのだと感じます。
陶芸の研究事例とユングの訓え、人生という限りある時間の中で、何を大切にして行きていくべきかを示してくれています。