環境省の調べによれば、2022年、日本で発生した食品ロスの量は約472万トン。
1日あたりに換算すると、およそ東京ドーム1杯分にも相当するという。
しかもその約半分が、家庭から出ているというのだから驚きだ。
そんな中、先日参加したビアパーティーで、ふと気づいたことがあった。
いわゆる「食べ放題・飲み放題」形式。
幹事としてはありがたい料金体系だが、
今回は少し様子が違っていた。
料理の補充が、以前より控えめ。
ラストオーダーも早めに切り上げられ、
全体的に「食べ残しを減らす」工夫が感じられた。
これはきっと、フードロス対策なのだろう。
けれど、その一方で、
「食べなきゃ損!」「元を取らなきゃ!」という空気も、
どこかエンタメとして根強く存在している。
子どもには「好き嫌いしない」「いただきますの心を大切に」と教えていながら、
大人たちがその隣で、無理にお腹に詰め込んでいたら、
いったい何が“食育”なのかと考えてしまう。
放題という形式自体が悪いわけではない。
けれど、その楽しみ方に、
ちょっとした“節度”や“意識”があるだけで、
ずいぶん違う未来になるのではないか。
だいいち、食べすぎて健康を害したら、
「元」どころか「損」しているのでは? と思う。
食べ物には、たくさんの手間と時間と命が込められている。
本当に美味しいものは、
たくさん食べることではなく、
ちゃんと味わうことで、心に残っていく。
日々ごみを扱う私たちも、やはり心と胃袋という機関によって命を繋いで頂きたいと願ってやまない。
食べものと、もう少し、丁寧につきあっていきたい。