我が社のテラスに、またツバメが巣を作ろうとしています。
つい先日、第一陣が無事に巣立っていったばかり。
にもかかわらず、もう次の子育ての準備とは、彼らの切り替えの早さには毎年感心させられます。
ところが今回、巣作りの場所が“網戸の上”という、なかなか厄介な場所でした。
人間の出入りも多く、こちらとしては困りもの。
でも、ふと思ったんです。
「なぜ、すでに空になったあの巣を使わず、新しく作ろうとしているのか?」
これまで彼らは、ひとつの巣で年に2回、子育てをしていました。
それが今回は、前の巣を放置して、新たな場所に挑んでいる。
考えてみれば、ツバメは“巣を作ること”はできても、“巣を壊すこと”はできません。
自分で作ったものに満足できなくても、リセットが効かない。
だからこそ、不便でも新しい場所に挑まざるを得ない。そんな状況だったのかもしれません。
私は思い切って、空になった古い巣を撤去してみました。
すると翌日、なんとその場所に、彼らはまた巣を作りはじめたのです。
つまり、彼らはあの場所を“選ばなかった”のではなく、“選べなかった”。
壊すことができないから、選べなかったのです。
そこから私が学んだのは、
「行き詰まったら、ぶち壊す」という発想。
式年遷宮、20年ごとに神社を建て替える、あの古来からの習わしにも通じるものがあります。
何かを守りすぎて動けなくなることは、私たち人間にもあります。
でも壊してしまえば、また動き出せる。
繁栄の法則とは、実はそこにあるのかもしれません。