田内学著「お金の向こうに人がいる(ダイヤモンド社)」この本、昨年の秋に出版されたのですが、素晴らしい本だなと思います。人生を変える本との出会いというのがあると思いますが、私にとってはそのベスト10にこの本が入ってくるのではないかと感じております。
田内氏は蕎麦屋の息子として生まれたのですが、小さい頃からの疑問として、①なぜ家族に振る舞われるざる蕎麦は、店で客が食べるものと一緒であるのに、お金を支払う必要がないのか。②なぜお金を払う人は偉そうにしているのか。というものがありました。
①では親の作ったざる蕎麦を子供達は感謝をして食べる。しかしお金は支払わない②では、お金を払う人が偉そうにしている。「お金がそんなに偉いのか?働く人は偉くないのか?」田内少年は、そんな疑問をずっと抱いていた様です。
田内氏はお金を介在させてしまう事で、働く人を見えなくさせてしまうと言っています。そして現代ではお金こそが一番偉いと考えがちな状況が、どんどん増えているとしています。
大切なのは、お金の向こうにいる『人』の存在に気が付くこと。蕎麦屋は、お客さんが美味しい蕎麦を食べる為に働き、客は自分が美味しい蕎麦を食べるために蕎麦屋が働いていると考えること。これによって目的が共有されるのだと記しています。
無人島にお金は持って行かない。お金は何もしてくれない。大阪城を建てたのは大工さんである。偉いのは社長ではない(持論)。全ては『人の働き』なのである。その事を忘れては行けないのです。