昨日から、札幌市手稲倫理法人会さんにお邪魔している。
二日間の講師という大役をいただき、皆さんからは「先生」と呼ばれる。
けれど、その呼び名がどうにもこそばゆい。
申し訳なさと、恥ずかしさと、少しの戸惑いが入り混じっている。
二日間も、いったい何を伝えればいいのだろう。
はっきりした答えを出せないまま飛行機に乗り込み、雪がちらつく札幌に降り立った。
手稲という地名は、アイヌ語で“湿地”を意味するのだという。
小樽と札幌のあいだにあり、小樽出身のサカナクション・山口一郎さんの「新宝島」に出てくる
「テイネテイネテイネ」というフレーズが、昨日からずっと頭を回っている。
だが、あの歌詞とはまったく関係がないらしい。
ホテルの窓から手稲の山並みを眺める。ここは札幌オリンピックの時にスキー場として整備され、この地域が札幌市に編入されたという。
それにしても季節が早い。
山形よりも一か月ほど冬の歩みが早く、厚手のコートがようやく“ちょうどいい”。
乾いた冷たい空気が、肌にも心にもピリッとした緊張感をくれる。
そして私にできるのはただひとつ。
自分の物語を語ること。
痛みも喜びも、迷いや未熟さも、逃げずに歩いてきたその過程だけなら、誰にでもまっすぐ伝えられる。
そして、この二日間の大役を終えて思う。
一番“教えられた”のは、私自身だった。
結果はそうできのいい内容ではなかったのかもしれない。