現場に出てクタクタになった日。
それでも最後の掃除機がけが、実はけっこう好きだ。
家財整理の仕事って、体力仕事でもある。
運んで、分けて、拭いて、また運んで。
一軒終わると、皆そろって「腰いてぇ〜」と呻いている。
……のだが、私は違う。
なぜか、腰痛が来ない。
20年やってきて、それなりに無理もしてきたはずなのに、
腰に来たと感じても次の日には回復している。
現場スタッフは皆、腰ベルトや湿布、時にはストレッチ体操までやっている。
でも私はといえば、汗だくになっても、大丈夫。
典型的な骨格ウエーブの体型がきっと柳のようにいなすのだろう。そう自分では感じている。
だから「やっぱり神様に選ばれてるんじゃないか」と、
本気で思っている節がある。
それで、空っぽになった家で(静かに?)掃除機をかける時間は、
本当に気持ちがいい。
何にも無くなって、風が通る部屋。
床に光が差し込み、お客様の笑顔が浮かぶ。
モノがなくなると、人の顔が柔らかくなる。
人生の満足度って、持ち物の量と反比例するって私は信じている。
旅行に行くのにカバンは小さい方がいい。人生もまた。