「佐藤錦が、ちょっと厳しいらしいね」
そんな話が、近頃あちこちから聞こえてきます。
さくらんぼ王国・山形県。
全国の約75%を生産しているとも言われるだけに、
この時期の空気には、どこかそわそわとした緊張感が漂います。
春先の天候不順や、開花時期の低温が影響したとか。
紅秀峰はどうにか大丈夫そうとのことですが、
佐藤錦に関しては、収穫量も味も、例年通りというわけにはいかないようです。
そんななか、ニュースではさくらんぼの盗難事件も報じられていました。
高級フルーツゆえの被害。
実をならせるまでの手間や時間を思うと、やるせない気持ちになります。
もうひとつ印象的だったのは、代行運転の方の話。
「さくらんぼが不作だと、夜の街の賑わいも減るんですよ」
毎年この時期、観光や取引で来た人たちが夜の街に流れていく。
飲み屋さんにとっても、さくらんぼは“稼ぎどき”なんだそうです。
さくらんぼって、ほんとに“季節を回す果物”なんだな、と改めて思いました。
そんな中
「さくらんぼ狩り行きた〜い」と、娘がぽつり。
珍しいことです。
どちらかといえばインドア派の娘が、果物狩りに興味を示すなんて。
なんとなくうれしくなって、「じゃあ行こうか」と即答した自分がいました。
毎年あるはずの季節の景色が、当たり前じゃないと知った今年。
家族で味わう一粒は、きっと少しだけ、特別に感じられるかもしれません。