例にもれず、うちの犬もやってみた。結果はというと、ややぽってりとした中年女性に変身していた。目を閉じて舌をちょろっと出してる、あのいつもの寝顔そのまんま。なんというか、「ひと休み・ひと休み〜」って声が聞こえてきそうな感じだった。
面白くなってきたので、今度は自分の持ち物でも試してみた。毎日使っている鞄、長年愛用している腕時計、古びたスニーカー、そして20万キロ乗っている車。
こうして擬人化してみると、自然と「このモノに性格をつけるならどうだろう?」と考え始める。鞄は口うるさい相棒タイプ。中に何が入ってるか常に把握していて、「それ要る? ほんとに今日も持ってく?」と毎朝問いかけてきそうなイメージ。
腕時計は時間にうるさい冷静沈着な上司。無言でプレッシャーをかけてくるタイプ。スニーカーは気さくな幼なじみで、「今日はどこ行くの?」って顔して待ってる。車はもう完全に無口な親父。メンテナンスのタイミングになると、黙って調子を崩す感じ。
擬人化なんて、最初はただの遊びかと思っていたけれど、こうやって見えてくるのは、自分がそのモノにどれだけ情を抱いていたかということだ。長く使えば使うほど、「ああ、こいつと一緒に過ごしてきた時間って、やっぱり特別なんだな」と気づかされる。
AIが描き出すのは、モノの姿だけじゃない。自分自身の“見えない関係性”まで映し出してくれる。それがちょっと恥ずかしくもあり、でも不思議と温かい。
今は、家の中にあるモノ一つひとつを擬人化して、自分だけの「暮らしの登場人物図鑑」みたいなものを作ってみようかと考えている。意外と、人生の振り返りにもなるかもしれない。