当社では、事業所から出る事業系ごみの収集を行っています。お取引先様は、法律事務所や高校、介護施設、工場、ラーメン店、居酒屋、旅館など、さまざまな業種にわたります。年度末になると、残念ながら閉店されるお店も多く、そのたびに寂しさを感じます。
先日お伺いしたのは、嫁いでから53年間、ずっとその旅館を守り続けてこられたおかみさんです。令和6年度でお店を閉じる決断をされたと伺い、その長い年月を共に過ごしてきたお店への愛情と、その決断に深い敬意を抱きました。
お客様のところへ足を運び、お話を伺うことは、私にとって本当に楽しく、また学びの多い貴重な時間です。それぞれの業種に根付いたお話や、お客様の思いを聞くことで、私たちのサービスもどんどん磨かれていくと感じています。こうした瞬間が、日々の仕事のやりがいとなり、心に残る大切な経験となっています。
しかし、やはりお客様がいなくなってしまうことは、その方との時間が一緒に消えていくようで、どうしても寂しさを感じます。おかみさんも、旅館を閉じた今でも、朝目が覚めると「お客さん泊まってたかな?」と思ってしまうそうです。「半分はゆっくりできるけど、半分は辞めたくない気持ちもある」「常連のお客さんには、まだ連絡できていないんだ〜」と、ぽつりと話してくれました。
これから商工会に行って申請など、やるべきことがたくさんあると話しながら、少し寂しそうに笑い、「あんたにやるんだから」と、茹でたサザエとワカメを手渡してくれました。