東京都千代田区で現在開催中の「奇跡の一本松の根」展を観てきました。奇跡の一本松とは東日本大震災時、陸前高田市に7万本あったとされる高田松原が津波によって流失し、その中で唯一耐え残った松の木です。
復興のシンボルとして多くの人々に勇気を与えたのですが、その後海水によって枯れ多くの市民からの寄付によって現在はモニュメントとして保存されています。
私は津波が起こす水流のエアポケット的な偶然によってこの木だけが被害を免れたのだと考えていたのですが、モニュメント化の際復元に携わった匠達のインタビューから、非常に目の詰まった名木に値する素晴らしい松であった事を知り、決して偶然という訳ではなかったのだということが理解できました。
この奇跡の一本松はモニュメントとして現在もその地にあり人々に力を与えています。しかし根は防腐処理がなされたまま倉庫に保管され、特に日の目を見る事はありませんでした。
今回の展示は、これまで日の目を見ることが無かった根にスポットライトを当てるものであり、計り知れない津波の力に打ち勝った力強い根の躍動感や生命力を感じることができる大変素晴らしい企画だと思います。
私の名前は小林秀樹という事で、木という文字がたくさん使われており、子供の頃から樹木にはとても親を感じてきました。今回この根のみの展示というものを初めて観て、人の心の中に渦巻く感覚や、憤りの様なものを視覚的に感じることができ、同時じに力一杯踏ん張るその姿にとても大きなエネルギーをいただくことが出来ました。
あの根から生まれる生命力・躍動する力が、名木と言われるその木を支えたという事実を目の当たりにできた事は、足下を磨き上げることの大切さを映像として私の心に刻み、これからの人生に大きな勇気を与えてくれたと感じています。