3月号の致知(致知出版社)に、家事代行サービスで年商55億円の売り上げを誇る、ベアーズ副社長髙橋ゆき氏のインタビューがあった。髙橋氏は夫(同社社長)と二人で1999年に同社を創業。掃除、買い物、ベビーシッター等、ご家庭ごとのニーズに合わせた家事代行サービスを全国で展開している(現在社員は20代から87歳!まで総勢250人)。創業のきっかけは、夫婦共に香港の現地法人に採用され、異国の地で出産を経験したこと。その時献身的にサポートしてくれたフィリピン人メイドとの出会いによる。
夫婦は帰国し、第二子を出産。しかし香港でのような家事代行者を探すも見つける事ができず、氏の表情から笑顔が消える。その経験から、「日本にないのなら、二人で新しい産業をつくろう」と夫と家事代行業の立ち上げに挑んだ。
家事を他者に依頼するという概念のない当時の日本。初めの一歩は、公園のママ友たちに『「最近笑ってる?」と話しかける怪しい人』からだったと当時を振り返る。ただ多くのママたちは「家事・育児に疲れて笑えない」と答えたのだそうだ。自身の経験とママたちに笑顔を届けたいという思いを語って行く中で、共感を呼び、ベアーズの評判は口コミで広がって行く。
氏は、「仕事」を「志事」と表現し、人生の大半を掛ける仕事を自分の志と一体化させ、天命・天職で生きると語る。そこには香港で出会ったフィリピン人メイドの、献身的な姿勢とそれに対する感動・感謝がいまでも息づいているように感じた。