シュールストレミング、スウェーデンで作られる塩漬けニシンの缶詰で、世界一臭い食べ物と言われています(その臭さ納豆のおよそ20倍)。現在では空輸は禁止されているはずなので、入手できるのか分かりませんが、これはまだ空輸が許されていた十数年前のお話です。
知人で「シュールストレミングを食べる会」という大変変わった会を開催している方がいらっしゃいました。私も消臭を生業とする身として世界一臭い食べものの臭いとはどの様なものか、とどうしても知りたく、懇願し、何とか一缶入手することができました。
シュールストレミングはその強烈な臭いから、室内での缶詰の開封は避け、テントなどを張って食べる必要があると教えられていました。ですから、頂いたもののどうやって食すべきか二の足を踏んでおり、とりあえずということで実家のストック用の冷蔵庫にそっと入れて置くことにしました。
そして月日は流れ、私はその缶詰の存在を忘れてしまったのです。ある時、そうそう言えば!とシュールストレミングの事を思い出し、実家に行き恐る恐るその冷蔵庫を開けてみました。半年は経過していたと思います。すると、缶詰が無い!慌てて母に尋ねると、「腐っているようだったから捨てた」と一言。「何とも無かった?」と私。
あのシュールストレミングを事も無げに処理した母、大事に至らなかった事に胸を撫でおろし、その偉大さに感服したのでした。母は強し。
教訓①困った物を実家に持って行かない。②とりあえずと置いてしまうとその存在を忘れてしまう。③困る様な物を興味本位で頂かない。という事で未だシュールストレミングのその臭いを体験したことのない私の冷や汗エピソードでした。